ライターのJUNERAYさんはお酒に関するさまざまな資格を取得するほどの、自他共に認める「酒好き」。そんなJUNERAYさんが通いたくなる、ビギナーにもお酒好きにもおすすめのお店とは。
はじめまして、JUNERAY(ジューンレイ)と申します。ライターとしてお酒や食べ物、暮らしなどさまざまなジャンルの記事を書くかたわら、ドリンクブランドでレシピ開発担当としても活動しています。日本ソムリエ協会認定のワインエキスパートであり、SAKE DIPLOMAという日本酒と焼酎の資格、またクラフトビアアソシエーション認定のビアテイスター資格も有しています。自他共に認める酒好きというわけです。
これまで、ビギナーさん向けのお酒の入門記事を数多く執筆してきました。そんな私がなかなか返答に窮する質問が「おすすめのお店は?」というもの。
お酒を飲む飲まないに関わらず、お店の立地や雰囲気、店員さんとの相性など、誰しも飲食店の合う/合わないを経験したことがあるでしょう。お酒が自慢のお店ならなおさら、ビギナーさん(特におひとりさま)にはなかなかハードルが高いものです。
ですから、「このお酒をこうやって飲むなんて、と店主さんに怒られちゃって……」なんて失敗談もよく耳にします。知識がついてくるといわゆる「通好み」のお店も楽しめるようになりますが、まずは誰にでも優しく接してくれる、間口の広いお店でお酒に親しみたいですよね。
そこで今回は私自身も通っている、ビギナーさんにもお酒好きにもおすすめの、とても素敵な日本酒のお店をご紹介します。
- 誰もが日本酒に親しめるような工夫と配慮を感じるお店・SAKE Street 浅草橋店
- 日本酒への愛を感じる「丁寧な手書きPOP」
- 話し上手でお客さんの気持ちに寄り添ってくれる店長さん
- おひとりさまでも居心地がいい角打ち
- 一人でリラックスできる、けれど孤独じゃない距離感
誰もが日本酒に親しめるような工夫と配慮を感じるお店・SAKE Street 浅草橋店
東京都台東区、浅草橋駅から徒歩2分。かわいい柴犬のキャラクターが目印のお店が「SAKE Street」さんです。
日本酒をメインに扱う酒屋さんでありながら、おつまみを注文し、店内で立ち飲み(角打ち)をすることもできます。一見普通の酒屋さんですが、実際に利用してみると、誰でも楽しく日本酒に親しめるよう工夫と配慮が凝らされていることに気がつきます。
私がSAKE Streetを推しているポイントを3つに分けて紹介させてください。
日本酒への愛を感じる「丁寧な手書きPOP」
まずは、お酒一つひとつに添えられた丁寧なPOP。SAKE Streetでは、ほぼ全てのお酒に店員さんの手書きPOPがつけられています。
酒屋に限らず、どんな専門店でも「店員さんに話しかけるのは緊張する、かといって商品を見ただけではよく分からない……」なんてジレンマを抱えてしまうことはありませんか?(私はしょっちゅうあります)そんな時に商品の内容を分かりやすく解説するPOPがどんなにありがたいことか。
過去、私はワインショップで働いていた時にPOPの作成を経験しましたが、見た目よりずっと手間がかかるものです。お店の全商品につけるとなれば相当の時間と労力が割かれます。だからこそ、店員さんたちがお酒の味を自分で確かめて、分かりやすい説明を添えてくれるのは本当にありがたいことで、いかに取り扱っているお酒を大切にしているかが伺えます。
ちなみに商品棚を眺めていると、日本酒好きでも普段なかなか出合う機会のない銘柄が置かれていることに気づきます。それもそのはず、お酒のラインナップを決めているのは、日本酒を心から愛する店員さんたち。知名度や規模を問わず、本当に推したい34の酒蔵から個性的な銘柄を厳選しているのだそう。
話し上手でお客さんの気持ちに寄り添ってくれる店長さん
次に紹介したいのが、SAKE Streetの店長さん。明るく話上手で、お酒と酒蔵へのリスペクトが感じられる方です。実はSAKE Streetさんは日本酒専門のWebメディア(「SAKE Street」)も運営されていて、私はこちらの記事をきっかけにお店の存在を知りました。
ぽん店長も日本酒にまつわる情報のキャッチアップがWebメディアのように速く、日本酒のことを聞くとなんでも教えてくれます。そして、その話しぶりはチャキチャキしていながらも丁寧で、こちらの気持ちを尊重してくれているのが伝わります。
初めてお店にうかがった時は「女性の店長さんか、珍しいな」と思っていたのですが、お酒を紹介してくれる口調が熱心で、ぽん店長自身とにかくお酒が大好きということが会話の端々からうかがえ、すぐにファンになりました。
何より、彼女のいいところは、「こう飲んでみたい」という好奇心に寄り添ってくれること。あくまで嗜好品としての自由なお酒のあり方を尊重し、時には「この銘柄は氷を入れてオンザロックで飲むとおいしいです」なんて、聞いていてワクワクするような説明をしてくれることもあります。
私がSAKE Streetさんで買い物する際は、POPを読みながらゆっくり棚を見てまわり、あれもこれも飲んでみたい……と悩んだ末、信頼する「ぽんちゃんのおすすめで!」と注文をするのがお決まりのパターンになってしまいました。
おひとりさまでも居心地がいい角打ち
3つ目は、SAKE Streetさんの角打ち。なんと1杯300円から試すことができます。お酒を飲み始めの頃は特に、味や香りの説明を聞いてもなかなかピンとこず、試飲してから買いたいと思うことは多いはず。
角打ちのお酒は1杯から注文できますが、おすすめは3種の飲み比べ。メニューボードに掲示されたセットを注文してもいいですし、「こういうお酒が飲みたい」とリクエストすれば、ぽん店長が3種類選んでくれます。
田んぼごとのお米の個性を味わえる「会津娘」、ジューシーでモダンなスタイルの「山丹正宗」というハズさないラインナップの中に、個性派の「Re:vive 刹那」や、白麹の酸味がアクセントに感じられる「HIRAN」を混ぜてくれるあたりが流石!と感服します。取り扱っているお酒を知り尽くしているからこそのラインナップ。
おいしい日本酒を飲んでぼんやりすごしてもいいですし、ぽん店長と「このお酒はこのお料理と合いますね」なんて会話を交わすのも楽しいです。
ぽん店長の行き届いた接客で、とにかく居心地のいい時間を過ごせる角打ちは、ビギナーさんでも気軽に楽しめるのが魅力。
平日は20時、土日祝は18時までという時間設定のためか、仕事帰りに週末用のお酒を選びつつ1杯……という使い方をする方も多いそう。以前伺った際には、私も含めて店内がおひとりさまの女性しかおらず、「酒場でこんな光景が見られるとは」と驚いたものです。
一人でリラックスできる、けれど孤独じゃない距離感
最後に、ぽん店長に「居心地のいいお店づくりのため気をつけていること」を伺ってみました。
JUNERAY(筆者):SAKE Streetさんは一人で来られている女性のお客さまも多く、日本酒を専門に扱うお店ではちょっと珍しい感じがします。接客の際に気をつけていることはありますか?
ぽんちゃん:まずお店のコンセプトである「ボトルで買えて、角打ちもできる酒屋」ということをお伝えして、あとはお客さまが「困らないように」と心がけています。好みのお酒に出会えるよう、お客様のニーズに合わせて自然な距離感で接客するようにしています。
JUNERAY:なるほど。さっきお客さまがいらしたときも、最初に声をかけてからは、好きに店内を見てもらっていましたよね。私も酒屋さんではマイペースに棚を眺めたいタイプなので、ああいう接客はありがたいです(笑)
ぽんちゃん:SAKE Streetは「はじめて日本酒を飲みます!」という方もけっこういらっしゃるので、好みについてしっかりヒアリングする場合もありますよ。
JUNERAY:日本酒のビギナーさんだと、好みを聞かれてもなかなか言葉にできないと思うのですが、その場合はどうしているんですか?
ぽんちゃん:その場で飲んでいただける場合は、3杯セットの角打ちをおすすめしています。バリエーション豊かにお出しして、どの味が好みに近いかをお客様とすり合わせたりしていますね。
JUNERAY:飲食店だとたいてい日本酒は1合からの注文だから、飲み比べられなくて最初は困るんですよね。
ぽんちゃん:そうそう!酒スト(SAKE Street)では少量でご提供ができるので試しやすいかなと思います。試飲してくださった方のリアクションを見つつ、好みを探っています!
JUNERAY:お客さまはSAKE StreetのWebメディアや、SNSを見て来られる方が多いですか?
ぽんちゃん:実は口コミが多いんです。お客さまがお客さまを呼んでくださっているような状態です
JUNERAY:すごい!まさに理想の酒屋さんですね……。
実際にカウンターでグラスを手にすると、集中してお酒に向き合える空間でありながら、いつでもぽん店長に質問できる安心感もあります。隣の人の様子が目に入りすぎないカウンターの配置も絶妙。
ビギナーさんを含め、お酒を愛する人が通いたくなるお店とは「扱うお酒へのリスペクトが最大限感じられるお店」ではないでしょうか。大切に扱われるお酒と、居心地のいい空間。これほど素敵な場所はなかなかありません。
これから日本酒に親しみたいビギナーさんも、日本酒が好きで好きで仕方がないファンの方も、ぜひSAKE Street浅草橋店でお気に入りの1本を探してみてはいかがでしょうか。
※商品ラインナップは2024年12月取材時のものです。取り扱い銘柄は季節ごとに変動します
あの人の通いたくなるお店は?
編集:はてな編集部