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味やコスパは重視しない。会食専門家・yuuuさんに聞いた「会食や接待でウケる店」の特徴

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多くの会食経験から独自の“会食メソッド”を生み出し『ビジネス会食 完全攻略マニュアル』を上梓したyuuuさんに、会食で“ハズさない”お店とその共通点について伺いました。


同席者が多く、通常の外食より客単価も高くなりがちな会食は、飲食店にとってもうれしい存在です。では、そうした会食でよく利用されるお店には、どのような「特徴」があるのでしょうか。

今回お話を伺ったのは、広告代理店時代に数々の会食をセッティングするなかで、独自の「会食メソッド」を生み出したyuuuさん。「会食でハズさないお店」に共通する要素、そして「会食で何度も利用したくなるお店」の特徴とは。

会食専門家・yuuuさん

yuuu(ユウ)さん

会食専門家/幹事研修講師。京都大学大学院修了後、新卒で大手広告代理店に入社。先輩の言葉をきっかけに会食に全力で取り組み、苦戦苦闘の末に、徹底的に実務に即した体系的な会食ノウハウ=「会食メソッド」を独自に生み出す。その後、スタートアップ企業に就職。転職後も会食を通じて信頼関係を構築した企業から仕事を受けている。著書に『ビジネス会食完全攻略マニュアル すべての食事会を成功に導く最強の実務メソッド』(ダイヤモンド社)がある。

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ポンコツ社員が「会食専門家」になって周囲の信頼を回復する話

――広告代理店時代、多いときは月28回の会食を経験したというyuuuさんですが、会食に全力で取り組むようになったきっかけは何だったのでしょうか?

yuuuさん:広告代理店に勤めていた頃は、本当に仕事ができない社員で(笑)。あるとき、上司が「信頼関係を回復するには会食も重要。お前が今、誰からも信頼されていないと思うのなら、そういうところからチャレンジしてみたらどうだ」とアドバイスをくれたんですよね。そこから、会食に全力で取り組むようになりました。

最初は失敗続きで怒られることもありましたが、徐々に会食での頑張りを見てくれる人が出てきて。さらに、自ら意思を持って会食をセッティングできるようになると、参加者に喜んでもらえることも増えました。そしてついには、このような本を出すところまで至ったという感じです。

会食をセッティングするときに迷ったポイントを、メソッドとしてまとめた著書『ビジネス会食完全攻略マニュアル』(ダイヤモンド社)

――本の中ではたくさんの「会食メソッド」が紹介されていますが、特に重要なポイントを教えてください。

yuuuさん:クライアントとこんな関係性を構築したい、のように会食で成し遂げたい「目的」を設定することです。何の成果も生まない会食は、得てして目的が不明確です。逆に、目的がハッキリしていると「相手に喜んでもらうためには、どんな会食にすればいいのか」がイメージできます。すると、相手側の情報を収集するなど次のアクションも明確になるんです。

目的の設定と、その目的を達成するための戦略は、会食のセッティングにおいて極めて重要です。

yuuuさんが会食をセッティングするにあたって作る「会食選定基準書」の例。「会食の目的」、「会食前後で生み出したい差」、「開催日時」、「参加者」、「予算」、「アレルギーなど考慮すべき点」「確認事項」「ネクストステップ」など、会食の要件を分かりやすくまとめている

味やコスパより「雰囲気とホスピタリティー」。会食で使いやすいお店の特徴

――先ほどお見せいただいた資料に「選定基準」というキーワードも出てきましたが、yuuuさんはどんな基準で会食に使うお店を選んでいるのでしょうか?

yuuuさん:まず、会話の内容がビジネスメインになりそうな会では、個室のあるお店にします。打ち上げなどカジュアルな会であれば、オープンな席のお店を選ぶ場合もありますね。

それと、プランは基本的に飲み放題プランをチョイスします。ゲストにお酒を飲む人が多い場合は予算を超えてしまうこともありますから。ゲストが所属する、あるいはゲストの会社に関わりのあるメーカーのお酒を出しているお店があれば、そこを選ぶこともあります。

あとは、ゲストの好み、ライフスタイル、直近の食事などを分かる範囲で調べ、その方のニーズにあったお店を選定します。会食では、ゲストのことを調べて、「あなたに興味があります」という姿勢を見せることが大切なので。

例えば、小さなお子さんがいらっしゃって、早めに帰りたいゲストがいるなら、その方の自宅近くのお店を選ぶ。海外出張帰りの方がいらっしゃれば、日本らしいものが食べられるお店を選ぶといった具合です。

――通常の外食では、料理の味やコスパを重視してお店を選ぶと思うのですが、それらは基準に入らないのですか?

yuuuさん:もちろん、おいしい料理をいただけるに越したことはないのですが、それでも味やコスパよりお店の雰囲気や店員さんのホスピタリティーを重視します。だから、味やコスパがそこまで良くなかったとしても、お料理をサービスしてくれたり、気持ちのいい接客で会を盛り上げてくれたりといったホスピタリティーでリピートさせていただくお店もあります

いわゆる「予約が取りづらい人気店」には、ルールが厳しく、それに従わないと怒られるようなところもあると思うのですが、そういうお店は会食には向きません。あとは店員さんがミスをしたときに、その場で叱りつけるようなお店も避けることが多いです。

――通常の外食と会食の違いが分かって面白いです。先ほどホスピタリティーの話も出ましたが、会食をセッティングする側として、やはりお店の人の気配りはうれしく感じるものでしょうか?

yuuuさん:そうですね。「会食を一緒に成功させよう」というチーム感をお店の方から感じると、やっぱりうれしくなりますし、結果として良い会食になることが多いですね。

――チーム感とは?

yuuuさん:例えば、こちらの希望や都合にどれくらい寄り添ってくださるか、という柔軟さ。夜の会食だと「この後に二次会の予定が控えている」「途中退席するゲストがいる」などの事情も出てきますよね。そんなとき、配膳のスピードを調整するなどして、会食の進行を意識してくださるようなお店はすごくありがたいです。

――とはいえ、飲食店は忙しいですから、そんな気のきいたサービスを毎回受けられるとは限らないのでは?

yuuuさん:もちろん、満席でお料理を出し切る時間が大幅に遅れてしまうこともあると思うのですが、そういう懸念があれば、予約時や下見の際に前もって教えていただけると、とても助かります。

席の配置についても「予約が詰まっていないので、ゆったりお使いいただけるようにしますね。でも、混んできたときは相談させてください」といった提案や事前連絡をいただけると非常に好印象です。このような心遣いを見せてくださるお店は、多少予算を超えても利用したいと感じますね。

――こうした細かな気配りがチーム感を醸成し、会食の成功をアシストするわけですね。

yuuuさん:はい。ただ、お店のオーナーやシェフがホスピタリティーを意識されていても、それが実際に接客するスタッフさんまで行き届いていないケースもあります。ホスピタリティーの意識づけをスタッフ全員に徹底させるのは大変かもしれませんが、そこまで気を配っているお店には安心感があります。

――お店側のホスピタリティーという観点で、印象に残っているエピソードはありますか?

yuuuさん:先日、ランチ会食で東京ステーションホテルのレストラン「エノテカノリーオ」にお伺いした際、お店の方が「この後のご予定は、何時からございますか?」と聞いてくださったんですね。ランチ会食だと後ろに予定がある場合も多いので、そこまで気にかけてくださったのはさすがだなと感じました。

ホスピタリティーが素晴らしい。会食専門家が何度も使っているお店はココ

――yuuuさんが実際に何度も会食で利用しているお店はありますか? 

『ビジネス会食完全攻略マニュアル』の購入特典として閲覧できる「珠玉の会食店・困ったときのハズさない店リスト」。Googleスプレッドシート上に全国の「ハズさないお店」を400店舗以上まとめている

yuuuさん:例えば、乃木坂の「」や恵比寿の「創和堂」は、お料理だけでなくホスピタリティーが素晴らしくて、よく利用させていただきます。会食利用であることを伝えた際に真摯な対応をしてくださいますし、接客もあたたかいんですよね。渋谷を中心に展開している「三心グループ」のお店は個室も利用できる飲み放題付きコースが7,000円台という手頃な料金から設定されており、なおかつおいしいお料理も食べられるので、困ったらこの系列で探していますね。

――会食で使うお店はどのように調べているのでしょうか?

yuuuさん:食べログやGoogleマップのレビューを見ます。まず全体の評価を見て、ネガティブコメントも見るのですが、ホスピタリティーに関するネガティブポイントが多数ある場合は、会食利用で問題がないかどうか、注意を払って情報収集します。マップや口コミサイトのページに掲載されている写真も詳しくチェックします。丁寧な盛り付けや鮮やかな色彩のお料理など、料理のビジュアルが美しいお店は概ね料理のクオリティーも高いですし、店内やメニューなどの写真からお店の雰囲気もざっくりと分かります。もちろん、口コミで投稿される写真はコントロールできないのですが、そうしたページに写真を掲載されている飲食店さんは、プロに撮影を頼まずとも掲載する写真は吟味するべきだと思いますね。

もし自分が「会食でハズさないお店」をプロデュースするなら……

――yuuuさんが「いい会食ができた!」と手応えを感じるのはどんなときでしょうか?

yuuuさん:良い会食というのは、大体、最後にエモい話で締めくくられるんですよね。成し遂げたい夢や現在の仕事におけるモチベーションといった熱い話から、クライアントとどういった関係を築いて、共にどんな未来を目指したいかというところまで話が展開することもあります。「飲んで楽しかった!」というだけではなく、熱量のある話が生まれ、個々人への興味関心が高まり、リスペクトし合えた感覚が得られる。そういう会食は次のビジネスにもつながると感じています。

――それでは、数々の会食を成功に導いてこられたyuuuさんに「会食でハズさないお店をプロデュースしてほしい」と相談があったら、どんなお店にしますか?

yuuuさん:面白い質問ですね。やりたいことはいろいろありますが、手頃な予算で収まりやすい飲み放題プランはマストで用意します。会食に使える飲食代の相場が1人1万円くらいだとすれば、2店目も考えて、1人7,000〜8,000円くらいの金額設定がよいかもしれませんね。

あとは、半個室でもいいので、会食で使いやすい内装の設計は必要でしょう。

でも、一番大事なのはスタッフです。人をもてなすことが好きな、おもてなし精神溢れるスタッフを採用したいです。そして、そういったスタッフが長く働き続けたいと思えるような制度や雰囲気、組織のあり方も考えるでしょうね。それがひいては飲食業界を盛り上げることにもつながると思うので。

「会食でハズさないお店」のプロデュース、ぜひやってみたいです!

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編集:はてな編集部
取材・文:花沢亜衣
撮影:小野奈那子

 

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